【読書ログ】プレイス・ブランディング

〜場所をつくる仕事〜    電通abic project編

若林宏保、徳山美津恵、長尾雅信 著

2018年 有斐閣

f:id:WARAJI_the2nd:20180826214637j:image感想(^^)装丁の素敵な本で、活字も黒ではなくネイビーでとっても素敵。巻末の写真も良かった!この視点をインプットして旅すると、新たな発見ができそう!!

 

(学び)

●背景、、これまでの地域ブランド論は産品を対象とするのか、地域そのものを対象にするのか大きく2つの領域に分類されていた。

●課題提起、、日本が抱える課題は産品中心から地域そのものを対象としたプレイスブランディングへの進化を求められているのではないか?

●問い、プレイスとは何か?

地域は地図化が可能で客観的な事象から相対的に区分されるもの。一方プレイスは関係する当事者の心情や観念として当事者とともにそのプレイスに関わる他者との共同主観的な意味付けがある。

※つまりプレイスとは、地域とは異なる概念であってプレイスには「共同主観的」と言う点が強調されている。

※立地とセンスオブプレイス

起点となるのは立地(ロケーション)であるが、一方でセンスオブプレイスとはその場所に対する感覚を示す。

センスオブプレイスは、体験に基づく本能的なものかもしれないし、プレイスの存在意義や思想のような理性的なものかもしれない。または離れてみて初めて気づくものかもしれない。

いずれにせよプレイスに対して人々がどのような感覚を持つようになるかがセンスオブプレイスなのである。

 

プレイスイメージの拡散のためには2つのことが必要

①サイトスペシフィックコンテンツの創造

②ストーリー編集力

★これは、プレイスブランディングに限らず、企業やアーティストなどにも共通と感じる。

 

★事例から:朝日酒造久保田のケース

苦労して和紙のラベルを取り入れたストーリーが紹介されていた。久保田のケースは本業をつうじたCSVにこそ継続性があり、真に社会に対して責任を持って向き合えることを示唆する。

★事例から: 南アルプスを「水の山」に見立てる→水は単なる1つの資源ではないかけがえのない資産。それが巨大な山の地下で育まれているのである。当たり前すぎて多くの人が気づいていない価値を、水の山 と見立てることで気づきが生まれ、そこから様々なストーリーが生み出される。意味のある名前をつけることの重要性に気づいた

★改めて、企業のCSVの意義に気づいたポイント→プレイスと批評を結びつける鍵となるのが「CSV」である。プレイスブランディングが根付いていくためにはすぐれたセンスオブプレイスを共有すると同時に、CSV思想を持つ企業と以下に巡り会えるかが重要になってくる。

 

その他の気づき

①「言葉」にすること「名前」をつけることの重要性。キーワードがある事はとても大切。

②管理する「マネジメント」能力よりも、方向付けると言う意味合いの「ディレクション」の力が大切である。

 ③日本では今東京への人口集中が進み地方の衰退が懸念されているが、行政を単位とした「地域」の視点から「プレイス」と言う視点にシフトするべき時と考える。

④企業はプレイスでのアクターとして、どのような貢献ができるだろうか。CSVの真価はここに発揮されていくのかもしれない。