【読書ログ】カスタマー・エクスペリエンス戦略
大野隆司、有薗雄一 著 日本経済新聞出版社、2018年
著者によるカスタマエクスペリエンスの定義「消費に関わる全ての経験において消費者が認識した価値」
この本ではカスタマエクスペリエンスを戦略として定義しオペレーションを再構築することを目的としている。そのため、カスタマエクスペリエンスをインフラとして分解して示さてれており興味深かった。
また実務を振り返って、私なりの考察として、深い!と思ったところはカスタマエクスペリエンスの提供と各部門の利害は必ずしも一致しないと言う点である。これまでは部門ごとの最適化の足し算が全体最適を生み出していた場合もあると思うがカスタマエクスペリエンス顧客主観に基づいで構築しようと考えたときには組織は今まで以上に部門の利害を超えた全体設計が重要になってきていると感じた。
〜 以下 備忘録に抜粋〜
第1部カスタマエクスペリエンスに取り組む
第1章
ものが売れなくなったと言われているが実は一人当たりの消費額が大きく変わってはいない。
この20年間振り返ってみたときに消費は大きく変化してきた。
1何を買うか
2どのように買うか
3どのように支払ううか
4どのように意思決定するか
近年消費者が入手できる情報が急拡大した。入手できる情報には
1商品を提供する企業から発信されるもの
2評価期間的な位置づけを持って第三者から発信されるもの
3消費者から発信されるもの
最も拡大したものが消費者から発信される情報だ。
(調査結果)企業の成功にとって重要な課題は何かと言うことに対するエグゼクティブトップオブマインド調査2017
第1位カスタマロイヤリティーの維持構築
第2位カスタマエクスペリエンス
これはマーケティングの4ピーの指標を上回っている。マーケティングの4ピーを設計し自走していく上での上位概念あるいは出発点としてカスタマエクスペリエンスが考え始めることがカスタマロイヤリティーの維持構築のために効果的かつ効率的であると理解することが適当だ。
調査結果:企業の成功にとって重要な課題は何かということに対するエグゼクティブトップオブマインド調査2017
第1位カスタマロイヤリティーの維持構築であり第二にカスタマエクスペリエンスが上がっているこれはマーケティングの4ピーの指標を上回っている。マーケティングの4ピーを設計し、実装していくうえでの上位概念、あるいは出発点としてカスタマエクスペリエンスから考え始めることが、カスタマロイヤリティーの維持構築のために効果的かつ効率的であると理解することが適当だ。
第2章
カスタマエクスペリエンスとは何か
筆者が考えるカスタマエクスペリエンスの定義として「消費に関わる全ての経験において、消費者が認識した価値」と述べている。この定義のポイントは前半部分「消費に関わる全ての経験」と言うところは商品サービスに対する価値だけでなくその前後にある経験全てを包括しているところ。後半部分については消費者が認識した価値であることが重要である。同じエクスペリエンスを提供したとしても異なった価値の評価が生まれそして発信され多くの消費者の情報収集や比較検討そして意思決定に影響与えているのだ。
カスタマエクスペリエンスの再評価については2つの要因がある
1複雑化するカスタマージャーニーへの対応
2存在感を増す消費者の主観への対応
消費者の評価については一人ひとりの趣味嗜好や経験値などが異なりつまり評価能力の違いが確実にありながらも情報が発信されている。これについてどこまで意思決定の参考情報として用いるかは一人ひとりの情報見る目いろいろ情報リテラシーによるところが大きい。そして価値の評価は顧客がホントのところは何を期待していたかによって大きく変わるものである。
また著者はカスタマエクスペリエンスのよくある勘違いとしてにてんを上げている1つはおもてなしであるとの勘違いもう一つは今年生日であると言う勘違いのにてんである。
第3章 エクスペリエンスはいかにして作るか
カスタマエクスペリエンスのインフラ
1ターゲットが明確になっている
2オムニチャネル化図られている
3消費者顧客の補足がされていること
4不断のチューニングができていること
この中で2番のオムニチャンネル日については複雑化するカスタマージャーニーへの対応として必要である。そして4番目のチューニングについては存在感を増す消費者の主観への対応として示されている
2のオムニチャネル化についてで興味深かったところ…例えば店舗での購入とEコマースでの購入でのポイントが統合されていないことや、何か商品の説明等にズレが当たる場合について「ずれ」について消費者は寛容でなくなってきたとも言える。
エクスペリエンスは営業店とシステム調達配送などなど企業の複数の部門の業務によって初めて成立する。つまり短期的に見ればカスタマエクスペリエンスの提供と各部門の利害は必ずしも一致しないことが起こり得る。つまり普段のチューニングを可能とするためには部門の利害を超えた仕掛けを施しておくことが必要となる。
第4章経営層が考えるべきこと
この章の私の発見は2つ1ディスラプターを想定すると言う事
に売り上げ等の財務諸表とカスタマエクスペリエンスそしてオペレーションの関係性を明確に設定しておくことが重要
第二部国内の現場では何が起こっているのか
各社へのインタビューで構成